「サマースクール」とは?
「サマースクール」とは、夏休みを利用して、日常とは異なる環境で、子どもに様々な学習や体験を提供するプログラムです。アメリカやヨーロッパなど学校の夏休みが2~3ヶ月と長期に渡る国々では夏の風物詩的な存在で、毎年世界中の多くの子どもたちが参加しています。
「サマーキャンプ」という名前を耳にしたことのある方は、それとはどう違うの?と思われるかもしれません。サマーキャンプはアメリカ発祥で、なんとその歴史は100年にも及ぶそう。当初は、アメリカの都心部で暮らす子どもたちが、夏休みに豊かな自然の中で過ごすために始まったキャンプ要素の強いものでしたが、時代の流れや、親・子どものニーズの変化に合わせてプログラムの内容が進化・多様化し続けています。そうしたこともあり、「サマースクール」も「サマーキャンプ」も、呼び方は違っても今では同じようなものと捉えてOKです(※1)。肝心なのは、名称よりもそれぞれのプログラム内容となっています。
※1:他にも、日帰り型のものは「デイキャンプ」などと呼ばれることも。このコラムでは、まとめて「サマースクール」と呼びます。
世界のママパパが考える「サマースクールに参加するメリット」とは?
◇学期中にはできない特別な体験や、新しいチャレンジができる!
欧米では、夏休みに宿題が出ることはほぼなく、日本のように長期休暇はクラブ活動や塾に集中的に通って過ごすという文化もあまりないため、子どもたちにはとても長い自由時間ができてしまいます。
そこで、サマースクールを活用することで、普段はできない自然体験や、スポーツ、音楽や美術などの芸術・創作活動、興味のある分野の探求学習など、同じプログラムに参加している他の子どもたちと一緒に充実した時間を過ごせるだけでなく、子どもが心身ともに成長できる機会としても期待されています。
◇自立心、協調性、積極性などが育まれる!
いつもと違う環境で、初めて会う大人や子どもたちと過ごしながら、何かにチャレンジすることは、それまでの自分の殻を破る大きなきっかけになります。
まだよく知らない相手に話しかけたり、話しかけられたり、協力して何かに取り組んだり、繰り返し挑戦したり…。特に、宿泊型のサマースクールなら、家族と離れて過ごしながら、身の回りのことも自分でしなければなりません。サマースクールに参加することは、プログラムで体験できる内容だけでなく、参加している時間のすべてが子どもの成長につながっていきます。
◇語学学習や、異文化交流ができる!
サマースクールには、世界中から参加者が集まるものも多くあります。英語学習を目的としたプログラムもあれば、現地の子ども向けのプログラムに参加して生きた英語に触れる・自然な流れで英語を使うことができるというものも。
サマースクールは国を超えて参加することも一般的なので、言葉や文化の異なる人とたくさんコミュニケーションをして、語学だけでなく多様性も肌で感じながら視野を広げていくことのできる貴重な体験となります。
ものすごく種類が豊富!どんなサマースクールがあるの?
子どもたちを取り巻く環境をはじめ、時代や社会の変化に合わせて、あらゆるニーズに応えながら進化・多様化し続けているサマースクール。選択肢があり過ぎて、我が家に最適なものを見つけるには、パンフレットからインターネット、ご近所の口コミまで、積極的な情報収集は欠かせません。
対象も、幼児から高校生まで幅広く、様々な年齢の子どもたちが一緒に過ごすものもあれば、年齢別にプログラムが組まれているものもあります。大学生や社会人も参加できる短期留学的なものもあり、内容も千差万別。具体例を挙げたらとても書ききれないので、大まかな分類でご紹介していきます。
◇形式
●参加の仕方:通学型、日帰り型、宿泊型
●日程:1日のみ、数日、1~2週間、1~2ヶ月など
●1日あたりの時間:1~2時間、半日、終日など
1日だけの体験教室のようなものから、数時間のクラスに数日通うもの、1週間以上泊りがけで参加するものなど、お子さんの年齢や性格、ご家庭の都合などにあわせて選ぶことができます。
◇目的・内容
●学童系(主に、幼児から小学生・中学生向け)
「親の仕事中に夏休みの子どもを預けられる場所」としても需要があります。近場の通学型で、学校、自治体、教会などが主催しており、働くママパパに気軽に活用されています。
●語学・学問系
英語などの語学学習、興味のある分野の探求学習、名門高校・大学主催のアカデミックな学び、学力向上のための英才教育的なものなど様々。近年では、プログラミングや科学実験などを取り入れたSTEAM教育系(※2)のプログラムがとても人気になってきているそう。
●習い事系
サッカー、テニス、ラグビー、乗馬、ダンス、水泳など、スポーツも大人気!学校や地域のクラブで開催されるものから、有名なプロ選手の指導が受けられるものまで、日程・費用面での通いやすさや、レベルに合わせて選択できます。
また、芸術や創作系にもいろいろなものがあります。楽器、アート、演劇、クッキング、木工、伝統工芸などから、動画製作、CG製作、ゲームソフト製作などのデジタル系も最近人気を高めているとのこと。
その他、本格的な職業体験ができるプログラムなどかなり充実しています。
●内面の成長系
主に、宿泊型のキャンプや、自然の中でのアクティビティ。自然体験や集団生活を通じて、自分と向き合ったり、他者理解や協調性などを育んだり、チームワークやリーダーシップなども学びます。また、ボランティア活動などが含まれていたり、自然の中でのサバイバルスキルを学ぶものがあったり、多様な側面での成長が期待できます。
どれも魅力的!ニーズに合わせて選べるプログラム構成
上記で大別した「形式」や「目的・内容」に加えて、「プログラム構成」にも様々なものがあります。ここでは、3つのタイプに分けてご紹介します。
◇【集中型】
語学・学問、スポーツ、芸術・創作活動など。
「夏休み中に短期間で語学力アップを図りたい」、「興味のある分野の探求学習を、ハイレベルな環境でやってみたい」、「スポーツやクリエイティブな活動など、自分の好きなことに思いっきり打ち込みたい」といったお子さんに。小学生向けから大学生向けまで、様々なレベルに合わせて、非常に多くのスクールが開講されています。
英語学習の場合、語学学校での専門的なカリキュラムでの授業だけでなく、ネイティブの英語のシャワーを浴びたり、世界中から集まるグローバルな仲間と英語を使って積極的にコミュニケーションをとることも重視したいという場合には、環境選びはとても重要です。現地の学校の授業を体験できるプログラムなどもあります。
◇【単発型】
スポーツや芸術などの習い事系、STEAM教育体験、職業体験など。
複数のサマースクールを掛け持ちすることも一般的。キャンプAとキャンプBの合間に、スポーツAと探求学習Aの合間に、といった感じで参加できる、単日~数日のサマースクールも人気です。
夏休みの自由時間を最大限に活用して、「やってみたかったことにたくさん挑戦してみる」、「新しい世界に出会ってみる」というのも、サマースクールの醍醐味です。
◇【複合型】
[語学+アクティビティ]、[キャンプ+アート]など。
1つのサマースクールで、より多くの体験をさせてあげたい!いろいろな体験をすることで、より幅広く豊かな成長をしてほしい!というご家庭に。子どもだけで参加するものも、親子で一緒に参加できるものもあります。
例えば、午前は勉強系、午後はマリンアクティビティ(時間ごとに異なる体験ができるタイプ)。日程の前半は都市部で語学スクール、後半は別の都市に移動して大自然を満喫(複数の都市でそれぞれのいいとこどり体験をするタイプ)。山間でキャンプをしながら、語学学習も、スポーツも、アートもそれぞれ参加したいものを選択できる(キャンプ+○○タイプはかなり充実!)。本当に多様な組み合わせがあるので、お子さんの興味関心、ママパパの想い、費用などから、バランスよく検討することが大切です。
世界では、どの国でのサマースクールが人気!?
ここまでの条件に加えて、「どこで参加するのか」というのも、サマースクールでの体験を大きく左右します。家の近所から、国内の遠隔地、外国まで、選択肢は無限にあります!
そこで今回は、広く世界に目を向けて、サマースクールの候補地として特に人気の国をピックアップしてみました。世界で人気の理由と、日本のご家庭におすすめのポイントを合わせてご紹介します。
●アメリカ
アメリカでは夏休みが約3ヶ月ととても長いので、その期間中は、アメリカ国内の各地で多種多様なサマースクールが開催されます。そのため、幼児や小学生から、社会人まで、年齢層が幅広く、世界中から様々なバックグラウンドを持った参加者が集まるのが特徴です。アメリカ英語での語学学習はもちろん、名門大学のアカデミックなプログラムや、最先端のSTEAM教育、大自然の中でのダイナミックなキャンプなど、選択肢の豊富さも魅力。日本語でのフォロー体制が整っているプログラムもあるなど、日本から子どもだけで参加するご家庭や、親子で参加するご家庭も多くなっています。
●ハワイ
観光地としても大人気ですが、サマースクールの参加先としても特に競争率の高い場所となっています。その理由は何と言っても、美しい海と、解放感あふれる穏やかな時間。「勉強に集中!」というよりは、サマースクールで学習もしながら、自然体験やアクティビティなども思いっきり楽しみたいといった、「ハワイでしかできない体験・時間」を求める親子での参加が多いようです。日本人向けのサービスも充実しているので、海外にあまり慣れていないご家庭にもおすすめです。
●カナダ
美しく雄大な自然に囲まれ、比較的涼しく湿度も低くて過ごしやすいカナダの夏は、サマースクールの参加先としても人気。都市ごとにそれぞれの特徴や魅力があるため、どんな体験がしたいかによって参加する都市選びも変わってきます。落ち着いた時間の中で英語を使う生活を満喫したり、大自然の中でのアクティビティを楽しんだりできるため、日本から子どもを参加させるご家庭も多くなっています。
●オーストラリア
移民や留学生の多いオーストラリアでは、非英語圏の生徒のための英語のカリキュラムが充実しています。世界各地から参加者が集まるので、一緒に英語を学びながら世界中に様々な友達ができるのも魅力です。集中して英語を学びながら、オーストラリア特有の自然や動物にも触れ合えるアクティビティも充実しています。
ただし、南半球であることに要注意!オーストラリアの6~8月は北半球から来る留学生のための短期留学プログラムが開催されていますが、日本とは季節が逆で「冬」です。オーストラリアの「サマースクール」に参加したい場合は12~2月となっています。
●アイルランド
北海道よりも緯度が高く、夏も涼しくて過ごしやすいので避暑を兼ねたサマースクールに。「教育水準が高い」「治安が良い」「独自の文化や歴史に触れることができる」などの理由から、ヨーロッパの中でも人気の留学先となっています。日本人を含めアジア系の留学生は比較的少ないため、英語を使う環境にたっぷりと身を置きたい、アジアとは異なるヨーロッパの文化をたくさん感じたいというご家庭にはぴったりです。